ケン・グリフィン氏、3年がかりの”サイレント買収”Citadelの新本社用地138戸のマンション買収の全貌!
July 21, 2026
7月に入り、マイアミの不動産業界では、ある3年越しの「謎解き」にひとつの決着がついたというニュースが話題になっています。舞台はマイアミの金融街ブリックエル。22階建て・全138戸のコンドミニアム「Solaris(ソラリス)」で、2022年末から所有者のもとに次々と匿名の買収オファーが届き始めました。本日は、この不思議な買収劇の顛末と、その裏に隠されていた本当の狙いについてご紹介します。
匿名の法人が仕掛けた、3年がかりのサイレント買収
Solarisの住民たちのもとには、2022年末頃から見慣れない企業名の法人による買収オファーが相次いで届くようになりました。最初期に応じた元所有者マーク・クリフトン氏は、2022年12月にわずか50万ドルあまりで自身のユニットを手放しています。一方、退職したSEC(米証券取引委員会)の元弁護士テレンス・テナント氏は、20階のコーナーユニットに対する当初55万ドルの提示を断り、粘り強く交渉を続けました。結果として、後半になるほど買収額は倍以上に跳ね上がったといいます。
買収を仕掛けていたのは、いずれもデラウェア州に登録された匿名の法人群。同じ登記代理人を共有していたことから、単一の買い手が背後にいることは住民たちにも薄々勘づかれていましたが、その正体が公になったのはつい最近のことです。
今年、Citadel(シタデル)の最高職場責任者ポール・ダラー氏が、不動産業界のカンファレンスの場で「全戸の所有者はケン・グリフィン氏である」と認めたことで、長年の謎に決着がつきました。ヘッジファンド運用大手Citadelおよび証券会社Citadel Securitiesの創業者兼CEOであるグリフィン氏は、2022年にシカゴから本社をマイアミへと移転させた人物として知られています。最終的な買収総額は、記録が残っている取引と、非公開の27戸分の推定額を合わせておよそ1億2,500万ドルにのぼるとみられています。
なぜ「割高な区分所有権」を、わざわざ買い集めたのか

Solarisでの成約価格は2022年末から2025年半ばにかけて平均1平方フィートあたり875ドルで、近隣の同年代の物件「Club at Brickell Bay」の平均618ドルと比べて、実に21%も割高な水準でした。しかし、ここで気になるのが、なぜグリフィン氏がこれほどの労力とコストをかけて、1戸ずつユニットを買い集めたのかという点です。
Redfin(レッドフィン)のチーフエコノミスト、ダリル・フェアウェザー氏はこの点について「デベロッパーは、更地よりもコンドミニアムの解散(ターミネーション)に対して、ほぼ常に高い金額を支払う」と説明しています。区分所有権を持つ1戸1戸をばらばらに買うより高くつくとしても、建物全体をひとつの権利にまとめ上げることで、はるかに価値の高い新しい開発が可能になるからです。つまりグリフィン氏が本当に欲しかったのは「部屋」ではなく、統合された「土地」そのものだった推測できます。
米国の不動産では、こうした形で1棟のコンドミニアム全戸を買い集めて解散させ、更地化してから再開発するという手法が、区分所有法上の正式な手続き(コンドミニアム・ターミネーション)として認められており、大規模再開発の際にしばしば用いられます。
なお、買収を主導した仲介業者マリオ・ボルダ氏は、こうした大型買収を専門に手掛けてきた人物として知られていますが、一部の住民からは複雑な感情も向けられたようです。ある所有者は、風水を重視していることを伝えたところ、ボルダ氏が後日わざわざ5つの代替物件を風水の条件に合わせて用意してきた、というエピソードも伝えられています。
ブリックエルに誕生する、25億ドルの新社屋

Solarisがあったこの街区は、グリフィン氏がCitadelの新本社を建設するための、最後のピースだったといいます。同氏は2022年にも、道路を挟んだ向かいの水辺の敷地を3億6,300万ドルで取得しており、28階建てのオフィスタワーや駐車場、後に解体された別の建物も含まれていました。Solarisの買収完了により、この街区のほぼすべてをグリフィン氏の傘下に収める形となり、計画では54階建て・総額25億ドル規模のCitadel/Citadel Securities新本社タワーに加え、300戸のアパートメント、1,420台収容の駐車場、ホテルなども建設される見通しです。
まとめ
今回ご紹介したのは、金融業界の巨人が、匿名の法人を駆使して静かに、しかし着実に街区を掌握していくという、マイアミならではのスケール感のある不動産劇でした。フロリダ 日本人 不動産という観点では、個々の物件価格だけでなく、その裏にどのような開発計画や権利関係が絡んでいるかを知ることが、エリア全体の将来価値を見極めるうえで重要な視点になります。ブリックエルという街が、今後もこうした大型再開発によって姿を変え続けていくことは間違いなさそうです。
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参考・引用文献
- Bloomberg「Ken Griffin Bought Out All 138 Condos in Miami Tower, One by One」
https://www.bloomberg.com/news/features/2026-07-02/miami-condo-building-is-bought-out-entirely-by-billionaire-ken-griffin - Miami New Times「Ken Griffin is the mystery buyer behind Brickell’s Solaris condo tower」
https://www.miaminewtimes.com/news/ken-griffin-confirmed-as-mystery-buyer-behind-brickells-solaris-tower-40556560/ - The Real Deal「Billionaire Ken Griffin eyes city-owned Brickell property in $3M deal」
https://therealdeal.com/miami/2026/07/17/ken-griffin-wants-to-buy-historic-miami-house-near-citadel-hq/ - Yahoo Finance「Hedge fund billionaire Ken Griffin secretly bought out a Miami condo building just to bulldoze it」
https://finance.yahoo.com/real-estate/articles/hedge-fund-billionaire-ken-griffin-182942715.html - Briefs.co「Billionaire Buys Every Condo in a Miami Tower for $125M…」
https://www.briefs.co/news/billionaire-buys-every-condo-in-a-miami-tower-for-125m-demol/


